第3節 - 阮小五

第7巻 第3章 第3節
少華山の晩餐と出撃の誓い

この節の概要

華州の少華山では、梁山泊からの視察に訪れた阮小五が見守る中、史進率いる騎馬隊と陳達・楊春率いる歩兵隊が苛烈な調練を繰り返している。一方、近隣には梁山泊の旗を騙りながら略奪を働く偽の拠点「了義山」が出現しており、官軍が仕掛けた誘い出しの罠であることが濃厚となる。月に一度、全軍で熊や猪の肉を食らう豪勢な宴が開かれ、史進たちは義兄弟としての絆やそれぞれの「志」を語り合う。しかしその裏では、孤立した少華山が官軍の各個撃破の標的となる危惧が強まっていく。史進は、偽の旗によって志が穢されることを許さず、また梁山泊本体との連携を優先するため、拠点を放棄して全軍で出撃する重大な決断を下す。一行は、了義山を叩き潰した後に梁山泊へ合流するという、退路を断った決死の作戦へと動き出そうとする。

主要人物

史進(ししん)

  • 綽名:九紋竜(くもんりゅう)
  • 所属:梁山泊(少華山隊長)
  • 役割:少華山の頭領
  • 初登場:第1巻 第1章 第1節
  • 華州の保正の息子で、体中に九匹の龍の刺青がある。王進に武術を学び、現在は少華山に拠点を置いて官軍に反旗を翻している。以前は猪突猛進な性格であったが、修行を経て冷静な指揮官としての風格を備えるようになった。

朱武(しゅぶ)

  • 綽名:神機軍師(しんきぐんし)
  • 所属:梁山泊(少華山軍師)
  • 役割:軍師
  • 初登場:第1巻 第2章 第1節
  • 陣形や軍略に精通した知略家。陳達・楊春と義兄弟の契りを結び、当初は彼らとともに少華山を拠点としていたが、史進の器量に惚れ込んで頭領として仰ぐようになった。官軍の不気味な変化をいち早く察知する鋭い洞察力を持つ。

阮小五(げんしょうご)

  • 綽名:短命二郎(たんめいじろう)
  • 所属:梁山泊
  • 役割:軍師(少華山へ出向中)
  • 初登場:第2巻 第1章 第1節
  • 梁山湖の漁師出身である阮三兄弟の次男。呉用の下で軍略を学び、現在は少華山の現状を把握するために派遣されている。戦場では勇猛果敢な武者であるが、軍師としての冷静な状況判断も求められる立場にある。

陳達(ちんたつ)

  • 綽名:跳虎(ちょうこ)
  • 所属:梁山泊(少華山副隊長)
  • 役割:歩兵隊の指揮
  • 初登場:第1巻 第2章 第1節
  • 少華山の古参メンバーで、歩兵を率いて史進の騎馬隊を相手にする厳しい調練を担う。血気盛んな武将だが、義理の兄弟たちや史進への忠誠心は極めて高く、拠点を捨てるという非情な決断にも迷わず付き従う。

登場人物の関係

graph LR
    史進 -->|主従| 朱武
    史進 -->|主従| 陳達
    朱武 ---|義兄弟| 陳達
    阮小五 ---|同志| 史進
    阮小五 ---|同志| 朱武

地名・拠点

名称種類説明
少華山(しょうかざん)山寨華州にある史進たちの本拠地。要害に拠り、これまで数千規模の官軍を幾度も退けてきたが、梁山泊本体からは地理的に遠く孤立している。
了義山(りょうぎさん)偽の山賊拠点官軍が梁山泊の評判を落とし、かつ少華山の兵を誘い出すために作った偽の砦。梁山泊と同じ『替天行道』の旗を掲げて民への略奪を行っている。

用語リスト

用語読み説明
赤備えあかぞなえ史進が率いる軍の装備。棒から具足まで全て赤で統一されており、その威容は戦場でも際立つ。
熊掌ゆうしょう熊の手のひら。少華山で月に一度振る舞われる特別な料理で、将校のみが食せる希少な部位とされる。

歴史・文化背景

北宋末期の混乱期、官軍は大規模な「屯田」的な政策により、戦に適さない兵を過酷な労役に投入して軍費を稼ぎ出し始めていた。これにより軍の迅速な連動が可能となり、梁山泊はこれまでの腐敗した官軍とは異なる、組織化された強大な敵との対峙を余儀なくされている。

→ 次の節(第7巻 第3章 第4節)

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