第3節 - 宣賛

第12巻 第2章 第3節
野営地の静かなる宴と不穏な影

この節の概要

雄州の将軍・関勝は、東平府から送られてきた囚人・董平の脱獄を阻止することに意地を燃やし、牢城の傍らに本営を移して厳戒態勢を敷いている。側近の宣賛は大軍を操る才を持ちながら些末な事に執着する関勝の器量を案じつつ事の成り行きを静かに見守る。そこへ梁山泊の魯達が、解珍と楊春と名乗る猟師を連れて現れ、官軍の陣中でありながら猪肉を囲む奇妙な宴が催される。魯達たちの真意を測りかねる緊張感の中、鉄壁と思われた牢城で予測不能な事態が発生する。関勝は面目を懸けて追跡を開始するが、そこには「人の盲点」を突いた周到な計算が働いていた。宣賛は関勝という男の限界と可能性を見つめ直し、梁山泊という「縁」が自分たちをどこへ導こうとしているのかを深く思索する。

主要人物

宣賛(せんさん)

  • 綽名:醜郡馬(しゅうぐんば)
  • 所属:官軍
  • 初登場:第11巻 第4章 第3節
  • 過去の凄惨な拷問により醜悪な面貌となったが深い学識と洞察力で自らを律する賢者。関勝の傍らで静かに助言を与えながら、梁山泊との奇妙な縁の行方を思索する。

関勝(かんしょう)

  • 綽名:大刀(だいとう)
  • 所属:官軍(雄州軍将軍)
  • 初登場:第7巻 第4章 第3節
  • 大規模な軍勢を操る用兵の天才。腐敗した官界に白けつつも自分にふさわしい「大きな場」を求めて燻っている。些細な賭け事に意地を張る子供じみた一面と負けを潔く認める器の大きさが同居した魅力的な指揮官。

董平(とうへい)

  • 綽名:双槍将(そうそうしょう)
  • 所属:その他(囚人)
  • 初登場:第11巻 第4章 第3節
  • 元東平府の将校。太守の娘への恋が卑劣な罠を招き囚人として送られてきた。死を恐れぬ不敵な度胸と理不尽な運命に抗う強靭な精神力を持ち、その身のこなしは極めて俊敏。

解珍(かいちん)

  • 綽名:両頭蛇(りょうとうじゃ)
  • 所属:梁山泊(二龍山将校)
  • 初登場:第8巻 第1章 第1節
  • 魯達と共に老猟師に変装して現れる。獲物の解体や料理に卓越した手際を見せ世慣れた落ち着きのある口調で語るが、宣賛には単なる猟師以上の何者かであると見抜かれている。

登場人物の関係

graph LR
    関勝 ---|信頼| 宣賛
    宣賛 ---|夫婦| 金翠蓮
    関勝 -->|主従| 魏定国
    魯達 ---|信頼| 宣賛
    解珍 ---|同志| 楊春
    魯達 -->|救済| 董平
    解珍 ---|友| 魯達

地名・拠点

名称種類説明
雄州(ゆうしゅう)都市関勝が統治する国境付近の州。関勝が牢城の傍らに本営を移して一千五百の兵を野営させている。

用語リスト

用語読み説明
処断しょだん刑罰を執行すること。東平府の太守からは董平を死刑にするよう命令が届いていた。
双槍将そうそうしょう董平の綽名。二本の槍を自在に操る武術を特技とする。

歴史・文化背景

当時の官界における汚職と私怨の横行が描かれている。太守という地方長官が個人的な理由(娘の恋路)で有能な将校を冤罪に陥れ、中央政府をも動かして処刑を画策する歪んだ法治の現状が、董平の境遇を通じて浮き彫りにされている。

→ 次の節(第12巻 第2章 第4節)

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