第1節 - 裴宣

第12巻 第3章 第1節
新秩序の胎動と公正なる裁き

この節の概要

梁山泊軍が攻略した済州において、文治省の頭領・裴宣は新たな国造りのための膨大な政務に追われている。城内の権利関係の整理・戸籍作成・独自貨幣の流通・清掃管理に至るまで都市機能を維持するための制度設計が急ピッチで進められる。遊撃隊の史進は平時における事務作業の過酷さに驚きつつも、民への示威と治安維持のために騎馬隊を巡回させることを約束する。夜、裴宣は潜入工作を担う孫二娘と密会し、城郭内に潜む青蓮寺の工作員への対策と物流を通じた情報収集の体制を整える。また城内で起きた兵士と民の紛争を裁く場を設け、梁山泊の法が何人に対しても公平であることを示そうと試みる。

主要人物

裴宣(はいせん)

  • 綽名:鉄面孔目(てつめんこうもく)
  • 所属:梁山泊(文治省頭領)
  • 初登場:第1巻 第5章 第3節
  • かつて京兆府で裁判官を務めていたが法の正義を貫こうとして陥れられ、晁蓋と出会って梁山泊に加わった。極めて公平無私で厳格な性格であり、法の解釈によって社会を律することに己の使命を見出している。

史進(ししん)

  • 綽名:九紋竜(くもんりゅう)
  • 所属:梁山泊(遊撃隊頭領)
  • 初登場:第1巻 第1章 第4節
  • 裴宣が進める緻密な行政事務に畏敬と困惑の念を抱きながらも、民に安心を与えるための巡回を引き受けるなど武力以外の形での貢献も惜しまない。

孫二娘(そんにじょう)

  • 綽名:母夜叉(ぼやしゃ)
  • 所属:梁山泊(潜入・情報収集)
  • 初登場:第10巻 第3章 第1節
  • 済州で食堂を営みながら城内の工作員監視と物流監視を担う影の功労者。亡き夫・張青への悔いを胸に秘め、組織のために冷徹かつ周到に任務を遂行する。

登場人物の関係

graph LR
    裴宣 ---|同志| 史進
    裴宣 ---|連携| 孫二娘
    孫二娘 -->|後援| 裴宣
    史進 -->|後援| 裴宣
    宋江 -->|主従| 裴宣
    戴宗 ---|協力| 孫二娘

地名・拠点

名称種類説明
済州(さいしゅう)都市梁山泊が攻略した重要な兵站基地。裴宣の文治省が戸籍作成・独自貨幣流通・法の執行を担う。
鄆城(うんじょう)都市済州に先行して梁山泊の支配下に入り、都市運営のモデルケースとなった場所。
任城(にんじょう)都市済州や鄆城への食肉供給源となる牧がある城郭。梁山泊の食料物流の拠点として機能している。

用語リスト

用語読み説明
文治省ぶんちしょう梁山泊の行政・法務・経済などを司る機関。裴宣がその頭領を務める。
鉄面孔目てつめんこうもく裴宣の綽名。私情に流されず公正に法を執行する役人を意味する。
労役ろうえき刑罰の一種。本節では城内で騒動を起こした者に「糞尿運び」が命じられている。

歴史・文化背景

宋代の都市運営において糞尿の処理や物価の安定は治安維持の根幹であった。梁山泊は独自の貨幣を流通させ不当な高値販売を市場介入によって抑制するなど、高度な都市行政能力を有していたことが裴宣の活動を通じて描かれている。

→ 次の節(第12巻 第3章 第2節)

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