第5節 - 孔明

第13巻 第5章 第5節
造船所を包む業火と潜入の影

この節の概要

官軍の造船能力を根本から破壊するため、孔明率いる決死隊は「口の造船所」への潜入を敢行する。一行は偽造された通行証と官軍の具足を用い、西京河南府からの増援部隊を装って厳重な警戒網を突破する。内部には膨大な船材が山積みにされており、孔明たちは油を忍ばせた竹筒を手に、攻撃の機会を伺いながら深部へと進む。途中で正体を怪しまれた瞬間、孔明は決断を下して攻撃を開始し、造船所の各所に次々と火を放っていく。燃え上がる炎と混乱の中、部下を一人でも多く連れ帰るべく、孔明は敵の追撃を退けながら約束の撤収地点である水際へと急ぐ。水面からは、危険を顧みず童猛の救援船が接近し、命懸けの脱出劇が展開される。

主要人物

孔明(こうめい)

  • 綽名:毛頭星(もうとうせい)
  • 所属・役割:梁山泊・流花寨副官
  • 初登場:第2巻 第5章 第1節

かつては孔家荘の主で、宋江や武松を匿っていた。現在は流花寨の副官を務め、今回の焼き討ち作戦では変装して敵陣に乗り込む。部下たちに対し「火をつけるまでは死ぬのを禁じる」と厳命し、自らも最後尾で殿軍を務めるなど、強い責任感と覚悟を持って任務に挑む。主要な人間関係:宋江(師)、童猛(同志)。

童猛(どうもう)

  • 綽名:翻江蜃(ほんこうしん)
  • 所属・役割:梁山泊・水軍将校
  • 初登場:第4巻 第4章 第2節

梁山泊水軍の一翼を担う。兄・童威を失った哀しみを抱えつつも、水路の難所を熟知した操船技術で孔明たちの潜入と離脱を支援する。敵軍が集結する危険な水域で、孔明たちの生存を信じて救出に駆けつける義理堅い武人である。主要な人間関係:孔明(同志)。

登場人物の関係

graph LR
    孔明 ---|同志| 童猛

地名・拠点

地名種別解説
口の造船所(くちのぞうせんじょ)拠点官軍の巨大な造船施設。広大な敷地に三百艘分の船材が積み上げられており、梁山泊にとって最大の軍事的脅威となっている

用語リスト

用語読み解説
通行証つうこうしょう蕭譲や金大堅によって偽造された公文書。西京河南府の太守の印が押されており、官軍の関門を突破するために使用された
竹筒たけづつ普段は水筒として使用するが、本節では焼き討ち用の油を忍ばせた特殊な工作道具として活用された

歴史・文化背景

当時の大型軍船建造には、良質な木材の確保と長期間の乾燥工程が不可欠であった。造船所そのものではなく、山積みにされた「船材」を狙った今回の火計は、官軍の水軍増強計画を数年単位で遅延させるという、極めて高度な戦略的意義を持っている。

→ 次の節(第13巻 第5章 第6節)

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